4630万円を誤振込した阿武町-おかしく解せぬ業務フロー⓵

463世帯に10万円が1世帯に4630万円

山口県の日本海に面する小さな自治体-阿武町。とある事件が原因でホームページにアクセスが集中したのか、この記事を書き始めた今も繋がらぬままである。
起きた事件は本来なら463世帯に10万円を給付する処理において、1世帯に4630万円振り込む事故が発生した。4630万円を振り込まれた24歳の青年は当該金額を「ネットカジノに使った」と供述しており、この金額を取り戻すのは容易ではないと言う事態に至っている。

該当の男性は電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕されるに至っているが、そもそも何故463世帯に10万円が1世帯に4630万円に変わったのか。
世論としては当該24歳の男性に非難が集中しているが、この経緯、小出しで出される原因を見ても何故そうなるのかわからないことだらけである。

成果物データのチェックはしなかったのか

日本の全住民一括10万円給付が行われた際は、自治体によっては人海戦術で給付を急いだ自治体もある。
恐らくそうした自治体はオンラインで上がっていた申請をパソナやらトランス・コスモスやらのアウトソーシング屋にパンチ入力の代行を依頼し、受け取った成果物をシステムに乗っけて金融機関への振込依頼をかける手続きをしていたであろう。
今回の給付は新型コロナウイルス関係の臨時特別給付金振り込みに絡むもので、463件の振込先があったと言うものである。

ここで一つ解せないのは、通常、パンチでデータを入力していたなら、成果物として払い出されるExcelデータなりCSVデータには、463件(行)のレコードが存在するはずである。
ところが金融機関は役場から受け取ったフロッピーのデータに基づき、1人に4630万円を振込む処理を実行している。
更に解せぬのは、その男性には「本来の10万円」と「誤入金の4630万円」の計4640万円が振り込まれていたと言うことだ。言うまでもなく成果物の内容がおかしかった事になる。

これは完全に想像の域を出ないのだが、1件に4640万円を振り込んだとしたら、成果物のExcelないしCSVデータのレコード数は、恐らく1件しかない。
その1件しかレコード数のないCSVデータが463件あるのが正解なのか、463件のレコードのCSVが1ファイルの状態が正なのかはわからないが、今回のケースでは少なくともレコード数は1しかないと思われる。
もとより、このデータはパンチデータなのか、システムによって自動的に払い出されたものなのかがわかりかねるが、成果物に対するチェックが為されていないと言うことが、大きな問題と言えるだろう。

本来必要のない総額を書いた振込用紙を出した

これは本来の業務フローから逸脱した運用が行われたと言うことであるが、これも何故そういう運用が為されたのかが全くわからない。
「フロッピーディスクは悪くない」
「ミスした職員は食事も喉が通らない状態」
食事も喉を通らない状態だからなんなのか。食事も喉を通らないほど体調が悪いから事実をききだせないと言いたいのか、理解が不能である。
大事なことは、なぜ本来のフローから逸脱した運用がなされ、それを監督する機能が働いていなかったかである。

今回の10万円給付事業そのものはイレギュラーな処理であったにしろ、役場から銀行に振込依頼を出し、実際に市民へ給付する手続きには、お約束の決まりがあると言うわけだ。
つまるところ、そのお約束から逸脱した運用が為されたにも関わらず、それをチェックする機能が働いていないのである。
加えて前任者が異動し、新卒の新人一人が今回の処理をやったと言うのが、なお意味がわからない。

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