ガルパンで考える政治道:リベラルとは何か?2️⃣
前ページでは西住しほ&西住まほ(黒森峰)と西住みほ(大洗)を対比しながら、右派全体主義と左派リベラルの要素を見た。
「左派リベラル」と言う言葉を出しているくらいなので、当然「右派リベラル」と言う観念が存在することになる。
じゃあ右派リベラルは何だと言うのが、このページでの話になる。
右派リベラルというのは別名、新自由主義とも言われ、小泉純一郎の政策が有名だ。この時期に一世風靡をしたのが堀江貴文であり、IT屋というより投資ファンドであったライブドアが一躍有名になった。
恐らく2019年現在ではZOZOが安倍政権時代版のライブドアとなるだろう。
リボンの武者はネオリベラル的
ガールズ&パンツァーの世界戦で言えば、リボンの武者がネオリベラル的な世界と言えるだろう。
実のところ、リボンの武者を読んで行くとわかるのだが、日本で本当の意味でネオリベラルの社会が実現したことはない。
というか恐らく、世界のどこを見ても、ネオリベラルのための政治が実現されたことがあるのかすら怪しい。
リボンの武者の他ガールズ&パンツァーシリーズの相違点を見てみよう。
劇場版も含め、他ガールズ&パンツァーシリーズは『戦車道』という、あくまでもスポーツ化された競技で厳格に(?)定められたルールの元で競技を行なっている。
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これに対してリボンの武者では、強襲戦車競技(タンカスロン)という競技が行われている。
決められたルールは戦車が10t以下と言う最低限のルールしかなく、さながら実戦に近い形式で戦う競技となる。よって観客も命がけで観戦しなければならない。
作中のライバルキャラとしてはボンプル高校のヤイカという人物がいるのだが、ボンプル高校(ポーランドがモチーフ)は公式戦(戦車道)において、プラウダ高校(ソ連)に敗北を喫している。
圧倒的な兵器差を前にむざむざと敗れたヤイカがハマったのが、まさにタンカスロンであったというわけだ。
零細企業が大企業を倒せてしまうタンカスロンはネオリベラルの世界観を表した競技
今更ながら「リボンの武者」を読んだ。いいねえいいねえ、悪鬼羅刹のような表情、実にいいねえ。お気に入りはニーナのこの顔。 pic.twitter.com/Qn5f9U8ip0
— 金木犀@宇宙と文学の人 (@kin_mokusei) March 23, 2016
戦車道の公式戦は黒森峰が優勝に優勝を獲得してきたように、設備投資できる企業が勝てる競技と言える。
一方で、タンカスロンは兵器のスペック差が殆ど無い分、実力勝負になりやすい。
強いて言えば物量の差で戦力の差が大きくなることは起こるが、それでもボンプルはニーナ率いるプラウダ高校を破り、鶴姫しずかは逸見エリカ率いる黒森峰を撃破している。
少なくともプラウダvsボンプル戦において、圧倒的な物量を投入したプラウダが負けており、カチューシャは「私が指揮しても同じ展開になった」と言っている。
必要なのは勝利への貪欲で飽くなき執念と奇策。そして最低限のルール(レギュレーション規定)設けた実践さながらの競技である以上、負けても自己責任。ちなみに観客についてもケガは自己責任である(そもそも安全措置がない)。その代わり公式戦以上に大企業に勝てるチャンスは多いというのが、正に新自由主義的な要素を持っている。
とは言え、現実の経済戦争では零細企業が大企業を倒すのは極めて難しい。タンカスロンと違ってレギュレーション規定はないし、大企業は企業献金という姿で合法ワイロを政党に送ることもできる。
そんな企業献金をガッポリ受け取っているとある与党は試合のルールそのものを大企業有利に変えてしまうのだ。
だから日本には真にネオリベラルのための政権ができたことはないというのは、そういうことだ。
安倍政権をよくネオリベラルと勘違いした人が多いのだが、もし安倍政権をネオリベラルだと思っている人は、アゴラ掲載の「アベノミクスが新自由主義という人は馬鹿か確信犯」と言う記事を読んで欲しい。
そろそろ政治ばっかなツイート辞めた方がええで?
ここまでガールズ&パンツァーを通してリベラルについて左右共に見て行ったが、思うにリベラルを自由主義と定義した場合、左派リベラルのツイッターから自由を感じないと思うことが多い。
有り体に言えば、趣味のツイートがない。
「どうせ趣味ツイートしても自分語りと思われて誰も相手にしてくれない。」という人がいたが、それだと一向に身内間だけで固まって行くだけなんではないかと思っている。
黒森峰の脳筋指揮官として有名な西住まほ。そんな彼女がツイッターをやったら、きっと戦車か西住みほのことでツイートがいっぱいになるのかもしれない。
「この人、なんか戦車の話ばっかりしてるな。」
気付けば西住まほのフォロワーは黒森峰の生徒ばかり…。
左派リベラルの人のツイートはそんな感じになっていて、一方で右翼アカウントとして成功している根戸ウヨ子は、政治以外のネタもツイート出来ることが成功した要因として分析した人がいる。
近年の右翼は全体として愛国と嫌韓をファッション化することに成功しており、今やネット右翼という言葉は存在するものの、現実はテレビ右翼の方が多いのではないだろうか。
そんなテレビ右翼達も政治の話しかしない面々は多いが、よくよく見るとその日食べたものであるとか、音ゲーで出したスコアの話をしている右翼も多い。
道徳心のある人も多いが、結局、左派リベラルの求める道徳を完璧にこなさなければいけなくなったら今度はディストピアになる。
ガルパンの西住みほも戦車隊の指揮官としての顔を持ちながらも、時にはファミレスでアイス食べたりファッションを楽しんだり(?)もしているわけである。
大洗女子学園に敗北後、そんな西住みほを見て、まほは黒森峰の組織改編に向けて乗り出している(現にリボンの武者では娯楽も大切にする組織に変えつつある)。
そうした意識改革/行動改革をやっていかない限り、左派リベラルが一般市民と繋がることはできないだろう。