障害や病気の言い訳が効かない労働現場

日本の転職活動とは全く持って厄介なもので、例えば精神疾患の前歴があると言えば、それだけで一発アウトである。
「退職の理由は鬱ですかぁ?」
なんかの大手金融機関系コールセンターに行った時に、面接でこの質問に正直に「はい」と言った時、以後ロクに相手にされなかったのは覚えている。
さて、そんな日本の企業の体質は当然、実務にも現れるわけで、発達障害を持った人が同年代の上司に怒られたことのツイートが話題になっている。

「給料貰っている以上やるべき事をやるのは当然だろ?何とか障害とか言い訳にするなよ」
そう。これは日本の企業のどんな会社に行ったとしても、障害を持っていることを釈明しようとすれば、必ず言われる発言だ。
というより、発達障害を持っていることを言おうものなら「あの人は反省の無い人」の烙印を押されるのが、日本企業の常である。
発言主の元には「転職した方がいい!」というコメントも寄せられているが、実はこのアカウントの実年齢を私は知っているので、退職して再就職できるアテが無いのは概ね知っている。
固有のスキルの無いまま”ある年齢”を過ぎたら”嫌でも会社に残るしかない”というのを現所属会社でも見ているので、私の前でいつも怒られているかの男性も、退職まで粘るために在籍していたりする。

ミスに対する免罪符はない

日本企業で生活していると、労働者を黙らせる魔法の言葉が多いのではなかろうか。
私も現職(2019年1月現在)の職場では、大勢の前での叱責は幾度も受けているし、私の周りにいる人間でも一部が辛辣な叱責を受けている。
そんな簡単な仕事で同じミス何回もされたら子供だったらもう体罰があっていいレベル」
「お前の仕事って普通にやってりゃ誰でも出来る仕事だろ」
「給料貰っている以上やるべき事をやるのは当然だろ?」
「言い訳するな」
叱責は結局、これで全てが解決してしまう。どれも議論の余地を奪うのには十分な殺し文句で”自分以外が普通に出来ている人ばかり”なら誰も自分を味方してくれる人はいない。
これが日本の労働現場の嫌なところで、みんなが特段意識しなくても出来てることが自分だけできないと言うことに劣等感を感じていくわけである。
みんなが特段意識しなくてもできることが、自分は特別に意識しないと出来ないことがどうしても存在するが、毎回特別に意識し続けることもできないからどこかで転ぶわけだ(それも早いうちに)。
この転ぶサイクルがみんなより早いため、段々と周りから冷たい視線を感じる様になり、病んでいくことになる。
例え障害を抱えていようが
「プロ意識」と言う名の下、先の魔法の言葉でミスに対する免罪符は否定されることになる。

人にはどうしても向き不向きがあって、実際に向いているか否かはやってみないとわからない(ただし会社員適性は案外会社員にならなくてもわかる)。
せめて失敗した時の再チャレンジをする環境にもう少し恵まれればと思うのだが(日本は転職に厳しい)、これは政治で解決出来るとは思えず、卒サラするか外資系に転職する以外、逃げ道はないのでは無いかと思っている。

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