川崎市-全国初:ヘイトデモに刑事罰⇨ここから全国に波及していくことが大切だ❶

2019年12月12日、川崎市で全国初となるヘイトスピーチデモに対する刑事罰を課す条令が可決された。
施行は2020年7月1日からの予定で、ある意味でオリンピックに間に合わせるようにして決まった姿になる。
思えば私が政治に関わるようになってしまったのも、川崎就業時に武蔵小杉のヘイトデモの存在を知ってしまったからで、そこから遡って動画などを見ると、それは在日韓国人なら命の危険も感じるような罵声が響き渡っていた。確か2016年くらいだったか、それで気になって小杉のヘイトデモへ取材に出かけ、機動隊のおびただしい車の数を見て戦慄したものがある。
今日のCRACの前身となる男組の面々はケガをした経験もあると聞いていたし、正直ケガを負うことは覚悟の上で現場に行ったが、いざあのデモの現場に行った時の緊張感と言ったらないものがある。

幼少期に受けた教育を振り返って見ると、同和差別と在日差別は確かに学校教育で習っていたのだが、その時は「こんな差別が本当にあるの?」「むしろこの教育自体が差別を生んでるんじゃないの?」という声があったし、私もそう思っていた。
しかし川崎での在特会系団体の動きを見て、当時の道徳教育を担当していた先生の言うことを肯定せざるを得なくなってしまった。
いや、いま思えば、身内の発言を見ても確かに日本人にはアジア人に対する差別意識がある。というより多くの日本人が自分達をアジア人とは思っていない。だから「日本人もアジア人だよ」と母か義父に言った時は「そんなのわかってるんだよ!!」と怒られた。中でも韓国人に対しては特に大きな憎しみが飛ぶことになった。
とは言え、どんなに韓国人を憎んだところで本国の韓国人には手を出せないため、身近な韓国人として在日韓国人は度々ターゲットにされることとなった。そして不幸にも私は「東京勤務から逃げ出したい」と思って川崎に就業した途端、まさかのヘイトデモに出くわす羽目になったのだ。

2016年、あの当時を振り返って見ると、在日韓国人である崔氏はヘイトデモの主催者である五十六パパ(ハンドルネーム)と対話をしようとしていたのだが、当然その対話は拒まれ、デモ決行に至っていた。まぁ彼らは100人くらいは連れて来ると思っていたから、実際に姿を現してきたのが20人くらいだったのは拍子抜けしたのだが。
それでも2013年の新大久保デモから振り返って見ると、在日韓国人は幾度も命の危険を感じて生きなければいけなかったわけで、令和元年の12月12日、ようやく川崎の在日韓国人は少しだけ安心して平穏な生活を営む大きな一歩を踏み出すことができたということだろう。

尤も、だからと言って完全に安心できるわけでもない。Twitterでは大荒れだ。
「川崎は日本人ヘイトは容認なんですね」とか「川崎は反日」などと言われている。その心ないコメントの一言一言が在日韓国人を差別したいという感情の現れだ。
「なんで日本人に対するヘイトは削除されたんですかね?」と言われたところで、そもそも日本の人口の1%に満たないマイノリティーである在日韓国人がどうして98%を占める日本人を差別してくると思うのかが不思議であり、何も互いに個人として尊重しあえれば・・・などと大げさなことを言わずとも、普通に人対人として接していれば、少なくとも日本人はなんら問題なく生活できるのではなかろうか。
逆に差別される側の在日韓国人にとって、その条文に「日本人に対する差別がダメ」を外されて欲しいと思うのは、ある意味で自然でもある。これまで散々ヘイトデモで泣かされてきた彼らにとって、そもそも「私たちがいつ日本人を差別したんだ」という感情もあるだろうし、何より現在進行形でイジメのターゲットにされている彼らにとって「日本人差別をしても罰金だよ」の文字が「なんらかのい虐めを受けた時に日本人差別をしたことにされる」のがまた怖いわけである。
Twitterにおけるネット右翼の反応を見ると、ますます川崎の対応は妥当だったと言わざるを得ない。

 

 

 

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