いわゆるネオリベラルとは何か

出生や生い立ちに引け目のある人と相性が良い思想

ネオリベラルに対する批判というのは少なくとも第二次安倍内閣がスタートして以来、ずっと行われているように思っている。
現実に言って安倍政権はネオリベラルではなく、寧ろ中国式の縁故資本主義こそ近いのが特質なのだが、しかし安倍総理はなぜかグローバリストを兼務しなければならないことになった。
隠して左派の思うネオリベ首相としての安倍晋三が出てくるのであるが、再度言うと、安倍晋三はネオリベラルではない。
ネオリベラル。新自由主義とも言われ、小泉政権時代に全盛期を極めた思想であるが、果たしてネオリベラルとは一体何なのか。
一言で言えば、出生や生い立ちに引け目のある人ほど惹かれやすい経済思考だと言って良い。
私はネオリベ思想を牽引したのは言わば、カーストの最下層にいた者では無いかと思っている。
概ね私と近い見解を示していた人がいたのでご紹介しよう。

これは私の思う新自由主義者になりやすい者のイメージと概ね一致する。
日本における新自由主義の政治家といえば小泉の他、橋下徹が有名だ。
彼の生い立ちなど見ればわかるが、彼はネオリベラルになるべくしてネオリベラルになったと言って良いだろう。
前半生の迫害を乗り越えた生い立ちが、彼をネオリベラル的な政策に走らせるのには充分なものだったと言っていい。
ちなみに私も相互フォロー関係の有名アカウントから、気を悪くしないで欲しいと前置きされた上で「大橋さんは橋下と雰囲気が似てる」と言われたことがある。
そんな私のポリティカルコンパスもネオリベラルの判定であったし、前半生は橋下の大学入学前と似たような生い立ちだったので、これまた必然的にネオリベラルの思想を持ったような気もしている。

ドラゴン桜を読めばネオリベラルがわかる

「ネオリベラルがどんな思想か」と聞かれれば、端的にはお金と自由が好きな人のための思想と言って良い。
ただ、具体的に文字に起こすのは大変だから、視覚的にわかるものとしてドラゴン桜のご一読をお勧めしたい。
ドラゴン桜の連載時期は折しも小泉政権時。
主人公の桜木健二弁護士は非行歴があり、しかもその前歴を雑誌にスクープされると言うことも経験している。
そんな桜木弁護士の行動原理は「金と名声」である。
桜木とよく対立するのは2人。
英語教師(後に転職)・井野はやや利己的ながら保守的な人間でもある。
もう一人が生徒である矢島。非行歴があるのだが、根本的には曲がったことが嫌いで正義感の強いタイプだ。
エンゼルバンクでは東大に入っているが、根本的な性格が変わっていないことを桜木から突っ込まれており、政治クラスタで言えば彼はリベラル左派が近い。

逆に染まるのが水野だ。
水野は母子家庭で育ち、しかも親の職業はスナックのママである。
そんな母親に良い感情を持っておらず、言わば出生や生い立ちに引け目を感じているのが水野であった。
人生の転機を求めた水野は東大合格に邁進し、実に講師陣の話をよく聴いて合格を勝ち取っている。
ちなみに矢島の家庭教師や、後に転職先で井野の上司になる海老沢もまた、かなり経済右派的な思考を持っており、総じて金に高い関心がある。
こうした面々の思考としてある種共通の理念が「バカは幸せになれない」であり、それ故の上昇志向が行動原理となっている。
当然、経済の政策においては弱者保護という観念はなく、自己責任が価値観のベースになる。
とりわけ行動原理が上昇志向にあることから、実は迫害されてきたマイノリティーと相性が良い。
迫害されてきたマイノリティは、保護される(弱者と認める)より、自ら強者になりたいのだ。実は「強者になりたい」という点ではネット右翼とほぼ一致なのだが、ネット右翼は生い立ちか出征には問題がないケースが多い。だから民族主義を標榜して下を探すことができるのだが、ネオリベラルは出自や生い立ちに問題があるケースが多いので、上昇志向を選択するしかないのだ。
それにより、マイノリティはネオリベラルとは相性が良いのではないかと考えている。

「ネオリベラルとは何か」という問いに立った時、少なくとも出自や生い立ちに引け目のあるマイノリティとは相性の良い政治思考と言っておこう。
何しろ、提唱者であるミルトン・フリードマンからしてマイノリティーなのだから。

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