SESは違法なことをしているのに裁かれないことは日本が法治国家ではないことを示している2️⃣

SESそのものは悪くはない筈なのだが…

「Swiftの歴史は4年しかないのにどうやって5年の経験を積むんだ」と突っ込みどころ満載なSESの営業であるが、こうしたSESの悪しき商習慣によって、WEB業界に夢見るITエンジニアは少なくない。
実際問題として、WEB業界は働き方に於いても先を行くものがあり、SIerが未だExcelとメールでコミュニケーションを取っていたのに対して、SlackやTeamsが当たり前に使われ、ドキュメント管理などはKintoneを使っていたなど、働き方がSIerと全く違うやり方をしている。

「IT業界」などと言いつつ、今時の働き亜k田をしているエンジニアはSIerには多くはいない。SIerにも花形の仕事に就く人間はいるが、9割のエンジニアは地味でつまらない仕事をすると言って良い。
そうしてITエンジニアのWEB系志向が起きていくのだが、WEB系とSIerではそもそも市場規模が断然異なる。言うまでも無くSIerの方が規模が大きい。業務系基幹システムなどは大抵SIerが手掛けており、SIerは自社の人員だけではカバーできないため、SESへ発注を投げるということが起こる。

一方、開発業務はシステムが落成すれば保守業務のみが必要になるため、開発に比べればやることは多くないため、人数も少なく済む。
そうしたことを考えれば、東芝の案件が終われば日立に行き、あるいは日立の案件が終われば富士通に行きつつ雇用は失わずに済む、というSESも、必ずしも悪いものではないはずであるのだが…。

実際には様々な案件に関われることも無く

本来、保守業務はやることが多くない。
また、システムの運用に関しては特別なITスキルを必要とする場面は殆どないため、運用はあくまでもユーザー自身にやってもらうことが本来あるべき姿である。
しかし、開発案件だけではSIerにとって旨味が無く、結局は運用業務まで請け負って「保守・運用」という扱いになっている。
本来、保守と運用は全くの別物であり、寧ろ保守は開発の方が近い。よって「開発・保守」こそ正しいITの姿である。

恐らく開発案件を中心にこなす人は、様々な案件をこなし、ゆくゆくは上流工程に携わりたいと考える人が多いであろう。
ところがSIerにとって旨味のある仕事は安定稼働しているシステムのお守りであり、SESへ振られる仕事の大半は保守・運用の仕事である。
SESの人間でも様々な案件に関われることを期待している人間は多いと思うが、しかしSIerとしては安定稼働して利益を稼ぎたいので、実際には完成システムのお守りがメインとなり、SESの仕事は保守・運用がメインであったりする。当然、異動は思ったより少なくなるだろう。

努力しても旨味は全て持ってかれ

常駐先の顧客がエンジニアの働きぶりを意外に良く見て単価を上げるケースはあるようだ。
だが、せっかく上がった単価もエンジニアには還元されず、元請の中抜きが増えただけであると言う話はよくよくある。
技術力を上げようと勉強に勉強を重ねて応用情報試験を合格したにも関わらず、飛ばされる案件はExcel、パワポという話もあれば、社員の印鑑を偽造して勤務表を勝手に作成していたなどというレッドカードな話もよく聞かれる。
資格取得のための勉強会なのに、役員のご高説が入ったり何故か大声を出さされたりする(パワーハラスメント)という話もあり、何かと脱法行為やら違法行為の話は尽きない。
努力しても旨味は皆持っていかれるが、同時に1つの現場に長居すると他では通用しない人間になりかねない。

IT人材の人手不足が盛んに言われているが、こうしたSESの体たらくを前にして、IT業界に飛び込みたい人が少なくなるのは当然ではないか?
斯様な状況でもITに飛び込んでくるのはITに夢を見過ぎた人であり、ITの現実を知れば知るほどITを目指さなくなるのは当然である。
この状況を改善するには政治介入によってSES企業の再編をやってもらうしかないのであるが、少なくとも政治家にこうした惨状へ関心を持ってる人間がどれだけいるのであろうか。
せめて違法なことをしている企業に対する罰則だけでも実行されて欲しいところであるが、全く罰を受ける様子は見られない。

今日もどこかでSESのエンジニアがサービス残業させられ、上がった単価もピンハネされ、スキルシートやタイムカードは偽造されているのだろう。
これだけ違法なことをやってもSESが法によって裁かれることはないのだから、日本が法治国家ではないことを示しているとも言える。

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