市役所の窓口委託はかえって無駄なコストがかさんでいる件⓵

SI産業の収入の主力柱は金融機関と官公庁である。この2業界だけで客先常駐SIerの売上約4割程度占めるそうで、なかなか異様な数字ではある。
ITに関わる仕事では保守・運用に関わる時間が最も長いため、SIerの金儲けは運用要員を客先に常駐させることで利益を得ていくのだが、この常駐する人間はSES(システムエンジニアリングサービス)から派遣される人間と、それを管理する自社のリーダー要員で構成されることになる。
さて、こんな世界にいると、自治体の非効率な働き方は度々耳にする。
今や市役所の窓口職員は外部委託されているケースが多く、東京都の自治体は概ね窓口は外部委託された民間企業(派遣会社)の人間が立っている。この件について委託による費用対効果はあるのかと言うと、かえって無駄な金が掛かっていると言うのが実態である。

コア業務は委託出来ない

なぜ委託することで逆にコスト増になるのか。それはコア業務は市役所から手放せないからである。
コールセンター業務にしてもそうだが、いくら業務が委託されると言っても、権限は委譲されない。
委託を受ける側と言うのは「定型業務しか出来ない」ため、非定型のケース、インシデントがあった際には、委託元へのエスカレーションが必要になる。なんだかんだで委託方式も「時間に対して支払いが発生する」という時給型単価をやっていることも多く、委託元が委託先の人間の労働時間を管理しているなどと言う笑えぬ話もあるくらいだ。ある意味で偽装請負が市役所の窓口でも行われているということである。
なぜ業務委託でコスト削減出来ないかと言えば、結局のところコア業務は手放せないということに尽きる。業務の委託を受けた側は作業は出来ても意思決定は出来ない。意思決定権は市役所が持ったままということである。勿論アウトソーシングによって余計なコストが発生するのは市役所以外にも言えることだが、こと市役所は税金で運営されている機関が故に、アウトソーシングによって無駄なコストを使っていることは非難されるべきであろう。
まして、こうしたアウトソーシングのやり方はよくよく見ると、偽装請負になっていることが多いのである。
最もコンプライアンスを遵守しなければならない市役所に於いて、偽装請負という違法行為が起きてしまうのであるから、本末転倒では無かろうか。

 

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