「#0112新宿プロテストレイヴ」から見えたリベラルの衰退と分裂❶

集客は殆ど肉球新党の手柄…

2020年の1月12日、新宿公園で安倍政権の退陣を求めるデモ行進が行われた。
Instagramでは1か月前から告知されていたので、私は旅行に行く計画は取り消し、取材に出かけることにした。
取材に行くことにしたのは良いものの、実は当初から参加者が多くなるという期待は全くしていなかったのが本音である。
少なくとも、Twitter政治アカウントを見る限り、左派系政治アカウントは大きく分裂した。
「何が原因か」と聞かれると特定し辛いが、要因は色々あると思うが、大別して要因は3つ。

㊀SEALDsメンバーの活動終了
㊁れいわ新選組の台頭
㊂宇崎事件で可視化されたフェミニストとアンチフェミニズムの対立

大きく分けるとこんなところであろうか。
まず最大の要因としてSEALDsの活動終了がかなり大きい。いや、解散後もSEALDsメンバーは個々に集まって小さなデモで先頭を切っていたし、奥田愛基氏の集客力は非常に大きなものがあった。解散後もSEALDsのメンバーは一定のカリスマ性があったため、彼らが行くデモは人が集まっていたのだ。そのSEALDsメンバーが現場であまり見かけなくなったことがリベラルの衰退に強く影響している。

次に、れいわ新選組の台頭だ。
れいわ新選組は政策が共産党と重なるところが多く、また組の質としても左派系全体主義寄りという点で、共産党と近い立ち位置にいる。しかし、れいわ新選組の支持層は共産党とだいぶ異なり、ロストジェネレーション世代から若い人にかけての支持者が多い。反面、共産党支持者は団塊世代以降の年齢層が多く、その中に現役世代が混じっていたような構成であった。それもれいわ新選組の台頭により、共産党は支持者を持っていかれるような構造となった。

三つ目に宇崎ちゃん事件で、野党支持者の中でもフェミニズムに賛同する人間とアンチフェミニズムに寄った人間で対立が起きたと言っていい。ここでも共産党とれいわ新選組の支持者はまた対立関係にあった。
共産党とれいわ新選組は政策こそ似た者の、支持者の質や思想が微妙に異なる。共産党は支持者が真面目過ぎる人が多く、それ故にフェミニズムに合流したのは良いのだが、過激な言動はフェミニズムに属さない男性側からの反感を買うことが多くある。逆にれいわ新選組はアンチフェミニズム寄りの思考が多い。れいわ新選組という組が完全にネオリベラリズムに対するアンチテーゼが出発点である故、彼らはネオリベラリズム要素を徹底して嫌っているという傾向が強い。そして現在のネットフェミニズムは「恋愛」という一分野だけを取ると、非常に新自由主義的な思考を帯びている(同時に現在の恋愛市場がほぼフリードマンの原理で動いている)。れいわ新選組支持者はアンチネオリベラリズムが元々の本質なので、その延長にアンチフェミニズムが入ってくる。というところで、野党支持者は2019年の一年で、互いに大きく対立する一年となった。

以上のことを勘案したとき、デモの参加者が集まらないことは容易に想像できた。
確かにTwitterでは肉球新党が頑張っているし、一抹の期待がない訳ではない。が、それを考慮しても寂しいデモになりそうだとは想像ができた。
そしてデモに駆け付けた時、新宿公園の広場も隙間ができるほどの光景を見ることになる。目見で参加者数はおよそ2000人程度。ほぼ肉球新党が集客したと言っても過言ではなかった。

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