現代の恋愛・結婚市場は資本主義の仕組みがよくわかる❶

2019年の大晦日は陰鬱なツイートを見て朝をスタートすることになってしまった。
野党支持者が「すもも」というアカウントを「女性差別だ」「気持ち悪い」などと称して罵倒しており、これがネット右翼の「なんで電車にハングルや中国語を表記してるんだ!」と言ったものならいざ知らず、ネット右翼ですらなかったという事に落胆した。
例えば目黒区の某自民党元議員が電車のハングル表示に憤慨していたが、そもそも訪日外国人観光客の約70%は中韓台香で占められ、かつショートステイが多くて一日当たりの消費額は高いという彼らには彼らが普段使用する言語を載せた方が売上確保、並びに経費&労力の削減にあたって合理的な選択だ。

だからネット右翼のような民族差別的なものに対して罵倒していたのなら、全く気にも留めなかったであろう。しかし、そうではなかったのである。
騒ぎになった発端は「非モテ男子にはライトなオタク女子がオススメです」と書いたもの。それに対して「女性差別だ!」「不快だ!」という罵倒が寄せられていたのだ。
しかし、それが女性差別だというのなら、一方で女性もまた男性を差別していることになる。女性誌や女性向けには「こんな男と結婚しちゃダメ!」というコンテンツは充実しているからだ。

少なくとも私は女性が男性を選ぶのは十二分に良いことだと考えるし、一方で恋愛が資本主義化している以上、戦略なくして結婚はできないこともまた確かである。そして、すもも氏に寄せられた罵倒の数々は非モテ男に対する人権侵害は許されている状態であることはnoteで指摘した。

このツイートで指摘されている通り、紛れもなくリベラルの劣化は支持者の劣化が大きい。
ところで、すもも氏を罵倒している人間のツイッターを除いてみると、経済政策としては社会主義の実現を望んでいる者が多い。確かに日本は今や「子供の6人に1人が貧困」と言われる状態にまでり、一方で「経済の事しか考えてない国なのに経済が右肩下がりでアラ不思議(笑)」と言った自虐ネタ(?)も見ることがある(そして日本経済はずっと右肩下がりである)。
細かい原因こそ色々あるが、なぜ日本経済が良くならないかと言えば少子化と資本主義化である。
少なくとも一億総中流時代の日本は「世界で一番成功している社会主義国家」と言われるほどであり、同時に婚姻も普通に行われ、ある意味で幸福度がそれなりに均一化されていた時代でもある。恐らく経済体系において社会主義を理想とするリベラルは、目標とするのは21世紀型の一億総中流国家であろう。

しかし、こと恋愛・結婚という要素が絡む場面においては、一部の人間が見事に資本主義的な感性を発揮してくれている。
あれほど「万人が幸福でいられる経済」を望む面々が、なぜに恋愛や結婚という場面でこうも資本主義的価値観を発揮してくれるのか。そんなリベラルの彼らはネオリベラルが大嫌いだ。竹中平蔵を悪の親玉として掲げ(竹中は左右両方から嫌われるが、今の竹中をネオリベラルと言えるのかは疑問である)、安倍晋三を非難する(言うまでもないが安倍政権はケインジアンである)。
なのに恋愛や結婚という場面になった途端、見事に非モテ男子に辛辣な言葉を浴びせてくれるのだ。
繰り返すが現代の恋愛・結婚は完全に市場に委ねられ、資本主義化したゲームである。そして資本主義である以上、恋愛や結婚で勝者になれるのは「富を多く持つ者」だ。当たり前だが万人の幸福などあり得ない。純資本主義は持たざるものには本当に厳しい。
資本主義は富める者が更に多くの富を持つため、富の寡占化が進んでいる。現代の恋愛もこれと同じで、とりわけ男性は確かにモテる(富める)男がより多くのモテ(富)を得られるような動きをしているのだ。この動きはほぼ完全に資本主義の動きと言っていい。
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